12月だというのに、今日の最高気温は20度ほどだった。
カレンダーがなければ、果たして今の季節がいつなのか、判然としない時代になった。
こんなに暖かくて、クリスマスや正月はちゃんと来るのだろうか。そんな心配をしてしまうほど今年の冬は暖かい。
とはいえ、朝晩はそれなりに冷える。雨の日や曇りの日も、やはりそれなりに冷える。
小学生の頃は「寒い、寒い」と言いながらも、徒歩1時間の通学時、下はスカートに靴下、上は下着、シャツ、ブレザーにマフラーくらいの軽装備で登校していた。雪の日はそこに手袋も加わっていたが、カイロを持って行っていた記憶はない。毎日使い捨てするカイロは、ずいぶん贅沢品に見えていた。霜焼けは冬になったら当たり前。冬の風呂は、霜焼けが痛くて辛かった。でも、「冷え」を感じたことはなかった。
中学生の頃は、下着にセーラ服、マフラー、手袋をしていたと思うが、コートは着ていなかったように思う。スカートの下に、体操服を履くことはあったが、まだ、「冷え」には出会っていなかった。
高校生の頃、初めてコートを着て登校するようになった。学校指定のコートだった。コートを着るようになってからは、コートを手放せなくなった。タイツの暖かさも知った。軽装備で登校している小学生をみて「元気だな」と思うようになっていった。それでも「冷え」は知らなかった。
大学生の頃、初めてダウンジャケットなるものを知った。でも、高くて手が出ないから、フリースを着ていた。そのころユニクロはまだ、若者の利用するような店ではなかったけれど、おしゃれなフリースがちらほら売り出されるようになっていた。冬はアウターが必須になってはいたが、「冷え」はまだ実感したことがなかった。
「冷え」を知ったのは20代の半ばのころだったろうと思う。ある冬、それは突然やってきた。手足の先や腹が冷たい。そして温まらない。これが「冷え」というものなのだと驚かされた。
あれから「冷え」は冬だけでなく夏もたまにやってくるようになった。「冷え取りグッズ」なるものを目にすることも増えた。そして今年、私は出会ったのだ。
出会いは行きつけの本屋だった。
定期購読している本を受け取るついでに、本屋をくまなく見て回る。そのいつもの見回りで出会い、少し迷ったが購入した。
本屋で見かけたとき、付録として数種類のお灸がついていた。それまで、お灸にはまったく興味がなかった。その日も、付録がついていなかったら買っていなかったかもしれない。
あの日から、日々お灸をしている。お灸にもいろいろ種類があることを初めて知った。おススメは煙と匂いが少ないタイプだ。ドラッグストアにもお灸コーナーはあるが、種類が豊富ではないから、ネット購入がいい。
200個も入っていてかなりお得だが、子どもはやけどが心配なので、火を使わないタイプを使っている。割高だがカイロみたいで手軽だ。穏やかな暖かさが、子ども曰く、お風呂に入ったみたいにほかほかするらしい。
仕事で疲れて帰っても、お灸で一息つくと疲れが少しリセットされる。なんとなく不調を感じている人に、お灸は効果がある気がしている。
それに加え、今年出会ったすごい冷え取りグッズがある。
これは本当に暖かい。ただ温められているだけでなく、自分の中から熱が発せられているように暖かい。
お灸とこたつソックスで今年の冬は「冷え」とは距離を置いた日々を送れている。