寒くなってくると、「軽くてあたたか」という言葉に魅かれている自分に気づく。
響きそのものがやさしくて、思い浮かべるだけで
肩の力がふっと抜けるような気がする。
けれど今日は、十二月とは思えないほどの陽気で、
その言葉の魅力が少しだけ薄まってしまった。
あたたかさが外に満ちていると、
“軽くてあたたか”のありがたみは、どうしても影をひそめる。
思えば、軽くてあたたかなものは増えた。
アウターは驚くほど軽くなり、
布団も、子どもの頃とは比べものにならないほど軽くなった。
あの頃の掛け布団は、今思えば恐ろしいほど重かった。
昔は、重さで身体に密着させて暖を取るという考え方があったのだろう。
“重い布団のほうが暖かい”という感覚が、当たり前だったのだと思う。
加えて、かつての布団の素材は「わた」が主流で、吸湿性が高くて水分を含みやすいものだった。気密性の低い家は、冬でも湿気が多かったから、その湿気を吸った布団は、朝になるとさらに重くなっていた気がする。
毛布を二枚重ねても肩が冷えていた記憶があるから、かなりの重量が毎晩自分の上にのしかかっていたはずである。
今は家の気密性が高まったこともあって、掛布団一枚で安心して眠れる。
技術の進歩って、本当にすごい。
年を重ねると、冷えが気になるようになる。
軽くてあたたかなものに囲まれて過ごせる冬は、
昔よりずっと快適だ。
それに、冬そのものも、前ほど寒くない。
“軽くてあたたか”という言葉は、
時代や気候や身体の変化に合わせて、
少しずつ違う表情を見せる。
それでも、ふと触れたときに心がほぐれる感じは、
変わらず好きだと思う。
