最近、自分が同じことを二度言っていることに気づくことがある。
一度目は勢いで、二度目は念押しのように。
「あーまた二回言ってる」と思っているのに、止められない。
若いころはそういう大人を見て「年寄りくさいな」と思っていた。
同じ話を繰り返す親戚、同じ注意を何度もする先生。
まさかその場に自分が立つなんて思ってもみなかった。
でも今その場に自分が立っている。そんな自分に気づき、驚きと恥ずかしさ、少しのおかしみがこみ上げる。
この現象には、実は名前があるらしい。
心理学では「反復言語(repetitive speech)」と呼ばれることがある。
無意識に同じ言葉を繰り返す現象で、加齢や記憶の定着、感情の強調などが背景にあるのだという。
一方、言語学や文学では「反復法(repetition)」という修辞技法として知られている。
意図的に繰り返すことで、強調やリズム、余韻を生む表現方法だ。
自分の繰り返し癖は、「反復法」を使っている感覚だ。
二度繰り返したいときは「相手に伝わらなかったかも」という思いが胸の底にある。
忘れっぽくなったこともあるだろう。情報は年を取るごとに増えていく。それを処理するのが大変なのだ。人の名前はしょっちゅう出てこない。必要な情報だけを拾い上げるのは、なかなか骨が折れる。
若いころは「年寄りくさい」と思っていたことが、今の自分に自然と馴染んでしまっている。
恥ずかしいなぁと抗いたい気持ちもある。でも、それを恥ずかしいと思うより、ちょっと面白がってみたい。
誰だって年を取るのだ。年を取った自分に「どうも」という気楽さで「二度言う自分」を受け入れてしまおう。
