ネコと暮らし始めて5年目になろうとしている。もともと生き物は好きで、ネコを飼っていたこともある。でも、田舎の実家で飼っていたネコは、ほとんど野良ネコに近い状態だった。ネコたちは自然と増えたり減ったりしており、ネコはネコで自立して気ままに生きていた。当然一緒に過ごす時間も少なく、家族の一員という感じではなかった。
子どもの頃から今まで、犬、ウサギ、カメ、金魚、カナヘビ、ハリセンボン、デグー、チョウの幼虫、カブトムシ、クワガタ。色んな生き物を飼ってきた。でも、自分が家を持ち、ペットとしてともに暮らすとすれば、それは断然イヌだろうと思っていた。ネコを迎え入れることになるとは、思いもしなかった。
今一緒に暮らしているネコは完全な家ネコだ。実家に帰省したときに保護されていた子ネコを、家に連れて帰ってから今まで、家族の一員として暮らしている。迎え入れてから感じたのは、「ネコはなんて完璧で素晴らしい生き物なのだろう」ということだ。毎日一緒に過ごすようになってから今まで、ネコに「かわいいね」と言わなかった日はない。毎日見ていてもほれぼれするその形と動きと表情に、その都度ハッとさせられている。
気ままななのに、甘えてきてくれることがある。言葉は通じないのに、気持ちが分かる。表情が豊かで、ふとした瞬間に見せる顔に新たな発見をする。玄関に迎えに来てくれるのに、なでようとすると冷たくあしらわれる。距離感を大事にしてそうなのに、気づけば隣にいたりする。子どもと熱心に話していると、必ず見える位置に座り込んで、話を聞いている様子を見せる。なにもかもが微笑ましいのだ。いつの間にか、ネコほどかわいい生き物はいないと思わされている。
ネコのかわいらしさと素晴らしさは、言葉に言い表すことが難しい。そのもどかしさに答えてくれる一冊がある。
「○○かわいい」は韻文にするのは難しいと思っていた。実際、短歌でも俳句でもそう言われている。
でもこの本は丸々一冊、ネコに関する俳句で構成されているのだ。俳人ってすごい人たちだ。たった17音しかないのに、ネコの可愛らしさをいろんな形で見せてくれる。五七五の小さな世界に、ネコという生き物の素晴らしさが広がっている。ネコ好きなら、きっと全てに共感できるだろう。読みながら、ときおり視線をあげて、近くで眠るネコを見る。充実した幸せな時間がそこには存在している。