ミスジバエ


庭のムシ㉞

ハチに似た形で、動きはハエのようなムシがいました。

全体的にキラキラした美しムシです。胸背に3本の黄色い縦帯があるので、おそらく「ミスジバエ」のよう。

ミバエ科の昆虫の一種です。

ミバエには害虫として問題視されている「ウリミバエ」や「ミカンコミバエ」がいます。

これらのミバエはウリ科やミカンなどの果実に産卵し、幼虫が果実の内部を食べて大きな被害を与えてしまいます。

ミスジバエはミカンコミバエと姿がそっくりですが、それらと異なる生態を持つミバエです。広い範囲に分布し、個体数も多いようですが、きちんと認識したのは今回が初めてでした。

ぼんやり生きていると、何も知らないまま通り過ぎてしまうことがたくさんあります。知らなくても、日常生活に支障はありませんが、知っているとちょっと面白い。

ミスジバエも次回どこかで偶然出会ったら、「あっ、ミスジバエだ!」と気づいて楽しい気分になるはずです。

このミスジバエ、ウリ科の植物の花のつぼみに産卵するという、ウリ科植物の花に特化した生活を送っているようです。幼虫は花のつぼみを食べますが、作物への被害はほとんどありません。むしろ、花の受粉にも貢献しています。ウリ科の植物と共生しているミバエです。

我が家の畑にあるウリ科の植物は、キュウリやゴーヤなどがあります。しかし、この個体を見かけたのは11月中旬でしたので、もうそれらの植物は枯れてしまっていました。

この個体は窓の内側にいたことも考えると、越冬する場所を探していて迷い込んでしまったのでしょう。すぐにどこかへ行ってしまい、その後死骸も見つけていないので、もしかしたら今でも部屋の片隅でじっとしているかもしれません。

家の外と中、どちらが越冬しやすのでしょうか。家の中でもハエトリグモに見つかったら食べられてしまうかも。

ミスジバエは卵、幼虫、蛹、成虫、それぞれの時期にそれぞれの天敵がいます。

卵のときはオオミバエハチ科のハチに産卵され食べられる。

幼虫のときはミバエハチ科のハチに産卵され食べられる。

蛹のときはノミバエ科のハエに産卵され食べられる。

成虫のときはハエトリ科のハエに空中で捕食される。

似たような名前同士で、食うか食われるかの関係にあるのですね。常に天敵に狙われつつも個体数を維持できているのが驚きです。それだけ、数が多いのでしょう。

考えてみれば、ウリ科の植物に特化していると言っても、ウリ科の植物もいろいろと種類があるうえ、家庭菜園でも人気の野菜が多い。ミスジバエの繫殖環境はたくさんあるのかもしれませんね。