ミミックメーカー


生き物を観察していると、どうしてこんな形になったのだろうと不思議に思うことがある。その不思議さに魅せられて、楽しい気持ちになることもある。

毎日の生活で、生き物に触れる時間はそれほどないと思ってしまうが、少し視点をずらすだけで、身の回りにたくさんの生き物がいることに気付くことができるだろう。

朝、洗濯物を干していると、いろんな鳥が飛び交っている。あるいは、姿は見えなくとも、いろいろな鳥の鳴き声を聞くことができる。

季節ごとに見かける鳥や聞こえる鳴き声は違うのだろうけれど、その全てに気付けている自信はない。それでも、ホトトギスの声が聞こえ始めると、「ああ、夏になったのだな」と思うことができるし、ワタリドリの姿をみると「今年も冬がやってきたのだ」と感じることがある。その瞬間、私は忙しない気持ちから解放されるのだ。

毎日がバタバタと過ぎていくから、毎日忙しいから、生き物のことをあまり知らなくても仕方がないのだと思う。でも、本当にそうだろうか。

手に取った靴下をピンチにかけたら、次の靴下を手に取る前に一呼吸置こう。それだけでずいぶん見え方が変わってくるはずだ。

そう思って空を眺めると、今朝はサギがカラスに追いかけられている姿を見た。まったく関係のなさそうな両者も、縄張り争いをしたりするのだろうか。サギはつがいのようだったから、カラスに卵を狙われているのかもしれない。

今は、なんでも簡単に調べられるから、自分が知らない世界はあまりないように思えるけれど、実のところ世界は知らないことだらけだ。

その、知らないことが新しい何かをもたらしてくれることがある。

これはぜひ、子どもに読んでもらいたい。そして、自然を観察する力を身につけてほしい。ムシをただ毛嫌いするのではなく、興味深い対象として観察できる人になってほしい。だって、そのほうが人生が豊かになると思うから。

でも、大人が読んでも十分面白い本だ。

ミミックメーカーになるためのポイントもまとめられてあって、ミミックの大切さも実感できる。