静かな気持ちになりたくなった大人には


年々、涙もろくなっていることを実感する。

困難を乗り越えていく主人公が描かれるドラマを見ると、泣いてしまう。

運動会で頑張って走っている子ども(わが子限定ではない)の姿を見ると、泣いてしまう。

新聞の記事のスポーツ欄に記されるスポーツ選手の努力の歩みを知ると、泣いてしまう。

感動している人の姿を何かしらで見ると、泣いてしまう。

頑張っている人の様子を誰かに伝えようとすると、泣いてしまう。

とにかく、何でも泣いてしまうのだ。

もう少し若かったころは、涙を流すとすっきりした。流れた涙が心の汚れも取り除くかのように、新たな自分になれる気がしていた。

でも、最近はなんだか違うのだ。

泣くと、ひどく疲れる。頭がぼんやりして、何かをする気力がなくなってしまう。すっきりする感覚がまるでない。これも、加齢現象の一つなのだろうか。きっと仕方がない変化なのだろう。

だから近頃は、感動ものの映画やドラマはあまり見なくなった。必ず泣くことが分かっているということは、疲れてしまうことも分かっているからだ。

でも、ささくれ立ち始めた心を静めたい時がある。せわしい日々を少し慰めてあげたくなる時がある。

そんなときにピッタリな本。

おススメ対象 高校生~大人

一つ一つのお話が独立しているので、少しずつ読み、少しずつ心を静かにすることができる。読んだ後も静かな読後感が続く。

生きていくのは困難の連続だけれど、生きていれば何かしらの変化に出会うことができる。

生きているってすごいんだな。教書通りの生き方ができなくても、身近な幸せを大事にして生きていればそれで十分なのだ。