宮崎純子『青の世界』。その本のなかにある青いものを眺めていて、アオアズマヤドリのページに釘付けになった。アオアズマヤドリのオスは青いものを集めて巣を飾るのだという。
求愛行動だというその行動に、「美意識」と呼びたくなるようなこだわりを感じる。
鳥は紫外線も色として見ており、ヒトより色覚が一次元多い。紫外線が見えるため、鳥の見る青はヒトの見る青よりも輝いて見えるようだ。
より複雑な層の青を扱えるオスが、優秀な遺伝子を持つオスだとしてメスに選ばれる。知力、あるは感覚のようなものが重要視される。彼らが生きていく上では、視覚が何よりも大切なのだ。
アオミノウミウシの造形にも驚かされた。
海がつくった宝石のような青。透明感と金属光沢が同居していて、現実の生き物とは思えない。その青は、もちろん塗られた青ではく、形が生む色であり、形が光を操るということを際立たせて、教えてくれる。
生まれつきの美と、集める美。同じ青でも、二つの青が、まったく違う論理で存在しているのが面白い。
プルキンエ現象のことも初めて知った。
明るい場所では赤が強く見えるのに、暗くなるほど青や緑が浮かび上がる現象。
光の量によって、世界の主役の色が入れ替わるという不思議。
生物が青をまとい、人間の視覚が青を拾い上げる。その重なりが、青という色をただの波長ではなく、世界の輪郭を揺らす力として立ちあがらせる。
そんなことを考えていたら、青い花を庭に植えたくなってきた。
夜空の下に咲く、たくさんの青い花。まるで海の底のような、そんな庭を眺めることが出来たら、どれほど幸せだろう。春に向けて、青い花を植えよう。どんな青が一番夜に映えるのかも楽しみだ。
青い花々によって、庭の空気が一掃されるような気もする。
青には心を安らげる効果がある。
一方で、もし世界がすべて青に染まったら、どこか心が宙に浮くような不安も生まれる気がする。
青には、安心と不安、静けさと深さ、その両方が宿っている。
アオアズマヤドリの青、アオミノウミウシの青、プルキンエ現象の青。
それぞれの青が、世界との距離感を少しずつ変えていく。
青によって、世界の見え方が静かに揺らぐ。
心が落ち着く本だった。
