選ぶならチョコレート


日常の中でふと手に取る本やお菓子に、思いがけない喜びが潜んでいることがある。

『チョコレート・ピース』はそんな本だった。

前半を読んでいるときは「なんだかありきたりな短編集だな」と感じていた。どこかで見たような物語、よくある人間模様。けれど後半に進むと、同じ出来事が別の視点から描かれていて、物語が立体的に立ち上がってくる。

そうだ、視点が変わるだけで世界はこんなにも違って見えるものだ、と思い出させてくれる。

物事は一面からだけでは語り尽くせない、そんな多面性を持っている。甘さの裏にほろ苦さが潜む。日常の中に特別な輝きが生まれる日もある。

チョコレート

お菓子はあまり食べないけれど、チョコレートだけはずっと好きだな。

お菓子を選ぶときはチョコ菓子が圧倒的に多い。今は、ハイカカオや、乳酸菌入りや、ストレス緩和など、多機能なチョコ菓子が増えている。板チョコの飾り気なさも好きだけれど、色んな選択肢があるのもチョコ菓子の魅力だろう。ほんのひとかけらで心が満たされる、不思議な果実。特別な実。

この本を読みながら、チョコレートの魅力と物語の仕掛けが重なって見えた。まるで、何気なく食べたチョコレートが、ふとした瞬間に心を慰めてくれるような感覚。

日常の小さな楽しみは、特別な出来事ではなく、ほんの少しの工夫や気づきから生まれる。お気に入りの本を読むこと、ひとかけらのチョコレートを味わうこと、窓から差し込む光を眺めること。どれも大きな出来事ではないけれど、心を柔らかくしてくれる。

『チョコレート・ピース』は、そんな日常の楽しみを思い出させてくれもした。物語の仕掛けに、チョコレートのような余韻を味わう。読後に残るのは、世界の多面性を信じる気持ちと、日常の中に潜む小さな喜びを見つけたいという願い。

ひとかけらのチョコレート、ひとつの物語。

視点が変われば、世界も変わる。

そんなささやかな楽しみを、今日も大切にしていきたい。