石井光太『こどもホスピスの奇跡』を読んだ。
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私は明日を生きられることを、絶対的に信じているわけではない。
それでも、基本的には信じている。 そうでなければ、生きていくのはあまりにも大変だから。
けれど世の中には、明日も生きられるかどうかを手探りで過ごす子どもたちがいる。 その原因が病気である場合、治療と生活の両立は想像以上に困難だ。 痛み、制限、未来の不確かさ。 それらを抱えながら「生活」を続けることは、簡単なことではない。
そんな子どもたちのそばで、 治療と生活のあいだにある深い溝を少しでも埋めようと、 手を差し伸べ、仕組みを変え、選択の重さに向き合い続けてきた人たちがいる。
その姿に、励まされる。
人が誰かの困難に寄り添うときに生まれる、静かな尊さを感じる。
本を読みながら考えたのは、 「生きることの充足」をどこに置くべきなのかということだった。
時間なのか、治療なのか、経験なのか。
もちろん、答えは個人によって違う。 どれか一つを選べば、別の何かが遠ざかることもある。
それでも、今を生きるということを考えると、 今しかできない経験ができることが、やはり大切だろう。
治療は未来のための行為だけれど、経験は“今”のための行為だ。
人は、今を生きるときにこそ、自分が生きていると実感できる。
こどもホスピスが守ろうとしているのは、 まさにその「今」の質なのだと思う。 治療のために奪われがちな生活の手触りを、もう一度その子の手に返すこと。 その営みが、子どもたちの「生きる力」をそっと支えている。
