好きな本を手元に置こう


今日は、心がざわつく出来事があった。
狭い駐車場で、先に入っていた車がなぜかバックしてきたため、私もバックせざるを得なくなった。相手が何をしたいのか分かりかねて、数回に分けて入口へ移動したところ、死角にいた歩行者と距離が近くなってしまい、その人を驚かせてしまったようだった。大きな問題にはならなかったものの、相手の表情が怖くて、胸の奥に重たいものが残った。

運転は毎日のことだ。通勤にも買い物にも、ジムに行くのにも車を使う。だからこそ、こういう出来事があると「また同じことが起こるかもしれない」と不安になって運転するのが怖くなる。

でも、「怖い」と思うのは、運転するのに必要な気持ちでもある。運転に慣れきってしまうと、思わぬ事故をおこしてしまうはずだから。

気持ちを落ち着かせたくて、本棚からお気に入りの本を手に取る。
好きな本が手元にあるのはありがたい。


昔から、食べものが出てくる小説が好きだ。これまでの読書経験から、「食べもの小説にハズレなし」という認識がある。でも、この前初めて“ハズレ”を引いた。料理の描写はおいしそうなのに、文章のリズムがどうにも気になってしまって、物語に入り込めない。こんな本が、流通に乗るのかと少し驚いてしまった。

その一方で、素敵な本にも出会った。
サトウユカ『キッチンに住みたい』だ。


6人の女性のキッチンが中心となった短編コミックで、それぞれの生活がゆるやかにつながっていくのも、全カラーなのにシンプルなつくりなのも好み。どの話も、台所の匂いや音がそのまま伝わってくるようで、自分のためにおいしいものを作りたくなる本だ。

とくに「お母さん卒業 キッチン」という話がよかったな。
家族のために料理をしてきた女性が、1人暮らしのキッチンとその生活を楽しんでいる。
その姿が、何年か後の自分のひとつの在り方をそっと示してくれているようで、未来が少し楽しみになった。

今日の出来事で心が沈んだ時間もあったけれど、
本のおかげで、気持ちがゆっくりと元の場所に戻ってきた。
必要以上の怖さや不安はすぐには消えないかもしれない。
でも、日々の運転の中でまた少しずつ上書きされていくだろう。

台所の灯りのように、好きな本やおいしいものが、これからも私の生活を静かに照らしてくれることを思う。