何もない部分が大きいから声も大きい


庭のムシ⑱

どこにいても、夏は大抵目にする「クマゼミ」。

セミのなかでも適応能力が高いのでしょうか。土と木があれば、どこにでもいる気がします。ひときわ大きな声で鳴くので、存在感があり、夏のムシの代表格です。でも、鳴いているのはオスのみ。オスはオス同士の競争や、メスへの求愛のために鳴くのですが、どんな鳴き方をしたらモテるのでしょう。やっぱり大きな声の方がモテるのかな。

クマゼミが見られる季節になると、硬い地面にボツボツと穴が開いているのを確認することが出来ます。

硬い鉄の棒か何かで開けたのだろうかと思われるほど、しっかりとした穴です。

夏の初めはいったいこれは何の穴?と驚くことがありますが、近くにセミの抜け殻を見つけ、「夏になったな」と実感することがあります。

クマゼミが好む樹木は、エノキ・ケヤキ・ボダイジュ・ムクノキ・トウカエデなどが知られてますが、我が家の庭の樹木にはなんにでも止まって鳴いているように思われます。食事をする木に必ずしも止まるわけではないのかもしれません。

今年は、ビワの木の根元にセミの開けた穴をたくさん確認しました。ビワの木の樹液も好物なのでしょうか。

光沢のある黒い体に、透明な翅。羽が透明だからか、抜け殻から出てきた直後は、本当にきれいではかなげです。

オスの腹部は空洞になっているため、大きな音を出せるそう。

ひと夏存分に鳴き、命を継いでいくクマゼミ。

夏の終わりに見かける死骸は、アブラゼミと比べるとアリが寄り付かないまま、放置された状態で転がっていることが多いです。

アブラゼミの方が美味しいからかと思っていましたが、単に大きくて重いかららしい。

アリには好まれないようですが、虫取り初心者には捕まえやすいセミです。素手でも取れます。捕まえると大きな声を出すので、びっくりして手を離さないよう、注意が必要です。

それにしても、横広の顔。

離れてついた目で何を見ているのでしょう。