オリーブアナアキゾウムシ


庭のムシ51

庭の草取りをしている最中に、ふと視界に入った黒い物体。鳥の糞?かと最初は思いましたが、糞にしては存在感があり、近づいてみると、ゾウムシのよう。しかも、結構大きいゾウムシです。

あまりゾウムシに出会う機会がないため、嬉々として写真に収めました。でも、近づき過ぎて、ポロっと木の根元に落下していったゾウムシ。どうやら死んだふりをしたようです。

名前を見てすぐに、害虫とされているのだろうと分かりました。「オリーブアナアキゾウムシ」。きっとオリーブの木に被害を与えるのだろうと調べてみると、確かにそうでした。すごく分かりやすい名前。

我が家にオリーブの木はなく、近所にあるオリーブの木に惹かれてやってきた個体のようです。

オリーブアナアキゾウムシは日本固有種のゾウムシ。外来種を見かけることの方が多いため、日本固有種は貴重な存在に思えます。

成虫は1.5cm。でも、見かけた個体はもう少し大きく見えました。名前の通り、オリーブの樹皮に穴を開けて卵を産み、成虫はオリーブの樹皮、幼虫は樹皮の中を食べるムシです。オリーブの木と共に生きるムシ。オリーブがなければ生きていけない日本固有種ということは、日本にオリーブの木が昔から自生していたのだろうかという疑問が浮かびます。

調べてみると中東を原産とするオリーブの木が日本に初めて持ち込まれたのは、安土桃山時代。キリスト教の宣教師がオリーブの実やオイルを伝えたそうです。とすると、それまでオリーブアナアキゾウムシは日本にはいなかったはず。日本に定着して、日本のみで繁殖するようになったから、日本固有種になったのでしょうか。謎です。ともあれ、オリーブの木がなければ出会う機会は少ないはず。我が家の近所にそんなにたくさんオリーブの木があるようにも思えないため、狭い範囲でひっそりと繁殖しているのでしょうか。

でも、最近は庭にオリーブを植えるおうちも多いようなので、住宅地の方が繁殖する機会が多いのかもしれませんね。

最悪の場合は木を枯らしてしまうことがあるようで、オリーブの木を守るためには、見つけ次第捕まえるのが得策のよう。

それにしても、面白い形をしています。ゾウムシという名前が本当にぴったり。死んだふり(擬死)も上手です。このムシ日記を書こうと思いついたのも、小さなゾウムシの擬死を見かけたことがきっかけでした。

ある日の出勤直後の職場で、自分からポトリと落ちたゾウムシの擬死を見て、「ゾウムシだ。死んだふりしている!かわいい!」と感じたことを覚えています。そのとき、ふと思ったのです。自分がもし、ゾウムシのことも死んだふりすることも知らずにいたら、「うわ!ムシの死骸、最悪」と思ったかもしれないと。私はゾウムシのことも、ゾウムシが死んだふりをすることも知っていたから、今こんなにワクワクできているのだ。知っているということが、自分を豊かにしているんだ。そのことを実感し、身の回りのムシのことを記録してみようと思いついたのです。

実際、ムシ日記を始めていろいろなことを知っていくにつれ、外でムシを見かけることがますます楽しくなりました。それだけではありません。書籍で生き物の本を読む楽しみも生まれ、知りたい欲求も高まり、さらにいろいろ学び、また楽しみが増していっています。ついでに言うと、ムシ雑学は雑談のネタにも使えます。

ムシ日記。おススメです。