ごはんを楽しむ


毎日のごはんは、可能な限り家で作ったものを食べている。
もちろん、外食もするし、出来合いのものを買ってくる日もある。それでも「美味しいな」と思えるのは、家で作ったご飯だ。

小手毬るい『ごはん食べにおいでよ』を読み終えたのは少し前のことだ。 物語の細かな料理名はもう曖昧になってしまったけれど、ページを閉じたあとに残った“あたたかさ”は、まだ手のひらに残っている。

主人公の雪とご飯を通してつながっていく人たち。 その距離の縮まり方がやわらかくて、読んでいるこちらまで、湯気の立つ台所に迎え入れられたような気持ちになる。

読んでいて一番驚いたのは、ベジタリアン料理の豊かさだった。 「野菜だけでこんなに世界が広がるのか」と思うほど、組み合わせや工夫が多彩で、どれも美味しそうだった。

そして何より惹かれたのは、“おうちだけベジタリアン”という考え方だ。 外では気負わず好きなものを食べて、家では身体がよろこぶものを選ぶ。 そのゆるやかさが、生活に無理なく馴染む気がした。

歳を取ったからだろう、自分のお弁当は自然とベジタリアン寄りになっている。もち麦ごはんに、残り物の野菜料理が何かしら、後はお味噌汁。高いけど、お昼は減塩のフリーズドライのお味噌汁を持っていく。美味しさが違うのだ。

何をどう食べるのか。
食べたもので身体は作られていく。でも、ごはんを楽しむことも大切だ。