かつては身近な存在でしたが


庭のムシ⑯

よく見るとおしゃれな模様をしている「イエバエ」

でもあまり良いイメージはありません。

出会ってしまうと、周りをしつこく飛び回られたり、感染症を媒介するイメージが強いため、あまり出会いたくはないムシです。

子どものころ過ごしていた家の近くには牛舎があったので、この「イエバエ」は身近で迷惑なムシでした。

「ハエたたき」なるものが昔は一家に一本あった気がします。今はどのくらいの家庭が常備しているのでしょう。たたいた後のハエをつかむ小さなトングのようなものがセットになったそれは、重宝する道具でした。

でも、最近はたたくタイプはちょっと嫌だなと思います。そんな人が多いようで、たたかないハエたたきも今は売られています。もうそれはハエたたきではなく「虫取りラケット」などと呼ばれています。

街中に住んでいるとあまり出会うことがないとはいえ、すこし厄介者の「イエバエ」。その「イエバエ」を活用して有機廃棄物を肥料に変える研究が「ムスカ」という日本の企業で進められているそうです。

そこでは「イエバエ」の養殖もされているようで、面白い事業だなと思います。

日本の食料自給率はカロリーベースで約30パーセントくらいだと言われていますが、種や肥料なども考慮すると10%くらいになってしまう。10パーセント・・・。大変な数字ですね。

国際情勢の変化や異常気象などによって、いつ食料危機に陥るのか分からない状態にあるのが今の日本なのです。

そんなことを思うと、「イエバエ」を用いた有機肥料の生産は必要で、希望が持てる事業だと感じます。

最近はあまり身近ではなくなった「イエバエ」。でも近い将来、彼らに支えられて私たちは生きていくのかもしれません。